仮想通貨取引では、ハッキングによる情報漏えいは最大の脅威です。
大事な資産や個人情報を守るために、取引を行う一人ひとりのインターネットセキュリティを強化する必要があります。
VPNはセキュリティ強化と、日本から海外取引所を利用する手段として、仮想通貨のトレーダーから注目されています。
この記事では、仮想通貨取引におけるVPN使用について主に以下3点を解説します。
- VPNを使うメリット・デメリット
- VPNを使うときの注意点
- VPNを選ぶポイント
安心して仮想通貨取引ができるよう、ご活用ください。
仮想通貨取引にVPNが必要な理由
仮想通貨取引でVPNが必要とされる理由は、大きく分けて以下の2つです。
- セキュリティを強化し、ハッキングによる情報漏えいを防ぐ
- IPアドレスを匿名化し、日本からはアクセス制限のある海外取引所を使う
VPNはインターネット上に仮想の回線を構築し、通信データを暗号化する技術です。
VPNを使えば、第三者からは通信内容をのぞき見できません。データは暗号化されているため、解読も不可能です。
インターネットセキュリティが強化されるので、情報の漏えいのリスクが高い仮想通貨取引において、VPNは最適な手段だといえます。
またVPNを使うことで接続元が匿名化され、海外サーバーを経由してアクセス制限のある海外取引所を利用することも可能です。
VPNは主に3つの技術により、インターネットセキュリティを強化します。
トンネリング・・外部から遮断された仮想回線で拠点同士をつなぐ技術です。外部からはトンネル内の通信内容を見られません。
カプセル化・・通信中の情報をカプセルのように包み、暗号化する技術です。万が一トンネル内に第三者が侵入したとしても、暗号化された内容は解読できません。
認証・・情報へのアクセスを試みた相手が正しい相手かどうかを判断する本人確認のようなものです。
仮想通貨取引でVPNを使うメリット
では仮想通貨取引でVPNを使うメリットについて、具体的に見ていきましょう。
資産を守る
ハッカーに通信内容を盗み取られると、資産は簡単に奪われてしまいます。
たとえ取引所がセキュリティを強化しても、取引を行う個人のインターネットセキュリティが脆弱だと、資産が奪われるリスクは免れません。
VPNを使ってセキュリティを強化すれば、通信内容を傍受されず安全に取引がおこなえます。外出先のフリーWi-Fiを使うときも、安全な取引が可能です。
個人情報の漏えいを防ぐ
仮想通貨取引所にアクセスする際、ハッカーの不正アクセスや盗聴によりメールアドレスや氏名、アカウント情報などが流出するリスクがあります。
また※IPアドレスから個人の位置情報まで割り出されます。
VPNを使えば、情報の傍受を防ぐだけでなくIPアドレスが匿名化されるので、個人情報を特定されることはありません。
※IPアドレスとは、パソコンなど端末に与えられたインターネット上の住所のようなものです。
工事がいらない
VPNを導入するには、専用線を導入するような大規模なネットワーク工事は必要ありません。
アプリをダウンロードしてサーバーに接続設定すればすぐに使えます。
ご家族や企業で使う場合など、VPNルーターを設置することもありますが、いずれにせよ、簡単に導入できます。
仮想通貨取引でVPNを使うデメリット
仮想通貨取引にVPNを使うデメリットについても、お伝えします。
通信速度が遅くなることがある
VPN接続では通信内容が暗号化されます。結果、パケットが肥大化し通信の遅延が生じます。
一般的なインターネット回線を使用するため、回線の利用者が増えると通信速度が遅くなることもあります。
世界各国にサーバー数が多い、高速通信に定評のあるVPNを選ぶのが、遅延を少なくするポイントです。
通信料以外にVPNの利用料がかかる
VPNを利用する場合、通信量の他にVPNの利用料が月額でかかります。
一般的には、おおよそ数百円から2,000円くらいの料金です。
後述しますが、利用料がかかるからといって無料のVPNを使うのはおすすめしません。
仮想通貨取引でVPNを使うときの注意点
仮想通貨取引でVPNを使う場合、おさえておきたい注意点についてお伝えします。
不明なネットワークには接続しない
VPNはフリーWi-Fi使用時も仮想通貨の取引が安全にできるとお話しましたが、100%リスクがないとは言い切れません。
たとえば、フリーWi-FIのアクセスポイントの中には悪意のある第三者が設置した偽物が存在します。
誤ってアクセスすると、データが盗み取られたり、お使いの端末がウォルスに感染したりします。
フリーWi-Fiに接続するときは、正しい接続元かどうかをしっかり確認しましょう。
フリーWi-Fiへの自動接続設定は切っておく
フリーWi-Fiへの自動接続設定は、切っておくのが無難です。
オンにしたままでは、気づかぬ間に出どころが不明なアクセスポイントに接続してしまうリスクがあります。
キルスイッチをONにする
キルスイッチとは、VPN接続が遮断されると同時に、インターネット接続も自動で遮断する機能です。
VPN接続が切れたままフリーWi-Fiを使用し仮想通貨取引を行うと、重要な情報が抜き取られる危険性が高まります。
VPN使用時は、キルスイッチをONにしておきましょう。
ウィルス対策ソフトも併用する
VPNには、ウィルス感染を防止する機能はありません。
ですので、偽アクセスポイントやフィッシングサイトから誤ってマルウェアをダウンロードした場合、ウィルスに感染します。
ウィルス対策ソフトをインストールすると、偽サイトへの誘導やマルウェアのダウンロードも防止できます。
感染対策にはVPNとは別に、ウィルス対策ソフトを導入しましょう。
VPNを選ぶ際のポイント
実際にVPNを導入する場合、どのようなポイントに気をつければよいでしょうか。
VPN選びのポイントを5つご紹介します。
通信できる国の数が多いものを選ぶ
仮想通貨でVPNを使う場合、海外の取引所にアクセスできるメリットがあるとお伝えしました。
VPN通信に対応する国が少ない場合、後々取引場所を広げたいと思っても、後の祭りです。
取引が進むと新たな取引場所にアクセスする必要もあります。
VPNを選ぶ際には、あらかじめ対応する国の数が多いものを選んでおくとよいでしょう。
サーバー数が多いものを選ぶ
仮想通貨取引では、数秒の差で利益の損失が生まれることもあります。
世界各地にサーバー数が多ければ、サーバーに障害が発生し取引所にアクセスできない場合にも、他のサーバーに繋ぐなどして対応できます。
会社によって設置場所と数が違いますが、世界に数十カ国の設置場所や1,000以上のサーバーがあるものを選ぶと良いでしょう。
ノーログポリシーがあるものを選ぶ
ノーログポリシーとは、顧客のIPアドレスや閲覧履歴などの記録(ログ)を、VPNの運営元が保存しないとする規約です。
VPNで通信が暗号化されていてもログが残っていると、運営元がハッキングされた時に情報漏えいするリスクがあります。
必要な同時接続台数を確認する
仮想通貨取引は、パソコンだけでなくスマホから利用する場合が多いです。
VPNサービスは、複数同時接続できるものがほとんど。
ご自身の必要な接続機器の台数を考慮してVPNを選ぶとよいでしょう。
無料のVPNは極力選ばない
無料のVPNには、以下のようなデメリットがあることがあります。
- 速度が遅い
- セキュリティが脆弱
- 広告が表示される
- 運営元による個人情報の売買
セキュリティ上の観点からも、無料VPNの使用はあまりおすすめできません。
まとめ
仮想通貨取引でVPNを使用するメリットは、大きく分けて以下のふたつです。
- セキュリティを強化し、資産や個人情報を守る
- 日本からはアクセス制限のある海外取引所を使う
同時にウィルス対策ソフトを併用し、ウィルスへの感染対策をおこない大切な資産と個人情報を守りましょう。