旅行や出張など海外でインターネットを利用する場合、空港やホテルのフリーWi-Fiに接続し情報収集することが多いですよね。
しかし、フリーWi-Fiには情報漏えいなどのリスクがあるため、VPNの利用がおすすめです。
この記事では海外でのVPN使用について主に以下4点を解説します。
- VPNが必要な理由
- VPNを使うメリット・デメリット
- VPNを使うときの注意点
- VPNを選ぶポイント
海外でも安心してインターネットが利用できるよう、ご活用ください。
海外旅行でネットを利用するときのリスク
まずは、海外旅行でインターネットを利用する場合に考えられるリスクについて見ていきます。
個人情報を盗み取られる
フリーWi-Fi使用時に、専用のツールを使えば、第三者が簡単に通信内容をのぞき見できてしまいます。
のぞき見された状態でネットショッピングを利用した場合、ログイン情報やクレジットカードの情報が盗み取られ、不正利用されることも起こりえます。
位置情報を割り出される
インターネットの通信内容が傍受された場合、IPアドレスからおおまかな位置情報がわかります。
IPアドレスとは、オンライン上の住所のようなものです。
スマートフォンからアクセスした場合はGPSからより詳しい位置情報が特定されてしまうので特に注意が必要です。
ウィルスに感染する
フリーWi-Fiの中には、ハッカーが設置した偽のアクセスポイントが存在します。
誤ってアクセスしてしまうと、同一オンライン上にいるハッカーに攻撃され、ウィルスに感染させられる危険があります。
海外のネット利用でVPNが必要な理由とその仕組み
VPNとは、インターネット上に仮想の回線を構築し通信データを暗号化する技術です。
VPNを利用すれば、セキュリティが強化され、海外でも安心してフリーWi-Fiが利用できます。
また接続元が匿名化されるので、アクセス制限のある海外から日本のサイトへのアクセスも簡単です。
具体的に仕組みを説明すると、主に以下3つの技術によりセキュリティを強化します。
- トンネリング
- カプセル化
- 認証
トンネリングは、外部から遮断された仮想回線で拠点同士をつなぐ技術です。外からは通信内容をのぞき見ることができません。
通信中の情報はカプセルのように包まれ、暗号化されます。これがカプセル化です。
さらに、認証によって情報にアクセスしようとした相手が正しい相手かどうかを判断するので強固なセキュリティが確立できるという仕組みです。
海外旅行でVPNを使うメリット
VPNの仕組みや必要性が分かったところで、ここからは具体的にどんなメリットがあるのかをお伝えします。
情報漏えいのリスクを回避できる
何も対策しないままフリーWi-Fiを使用すると、第三者がデータをのぞき見し、抜き取るリスクがあります。
たとえば、ネットショッピングでクレジットカード情報を入力したり、SNSでログイン情報を入力したりする時には特に注意が必要です。
第三者が情報を盗み、カードを不正利用したり、SNSアカウントを乗っ取るなどの被害が多数報告されています。
VPN接続すれば通信データが暗号化され、第三者に解読されません。
海外から日本のサイトを閲覧できる
国ごとにWebサイトのアクセス制限があり、滞在先の国から日本のサイトへアクセスできない場合があります。
その場合もVPNを使えば、アクセス制限を受けずにインターネットが利用可能です。
VPN接続でインターネット通信を行うとIPアドレスが匿名化されるので、特定の国やIPからのアクセスをブロックするサイトも閲覧できます。
海外旅行先でVPNの使用により、アクセス制限を解除するのは違法ではありません。
ただし、VPNの使用そのものが禁止されている国もあるので、渡航先が該当するのか事前に確認しておきましょう。
航空券やホテルが安くなることがある
VPNを使用すれば、ホテルや航空券、レンタカーまで安くなるかもしれません。
国によっては外国人料金を採用しており、日本のIPアドレスから予約すると現地の人が購入する価格より高く設定されていることがあります(ジオターゲティング広告)。
その場合、VPNでIPアドレスが匿名化される仕組みを利用すれば現地価格で購入できるというわけです。
海外旅行でVPNを使うデメリット
海外旅行でVPNを使う場合、考えられるのはメリットだけではありません。
ここからは知っておきたいVPNのデメリットについてもお伝えします。
通信速度が遅くなることがある
VPNを使うと、通信を暗号化するのでパケットが肥大化し、結果、遅延が生じます。
一般的なインターネット回線を使用するので、利用者が増える時間帯や国によっても通信速度が遅くなるのがデメリットです。
滞在先にサーバー数が多いVPNなど、できるだけ遅延の少ないものを選ぶとよいでしょう。
日本語のサポートが不十分なVPNがある
海外VPNを使う場合、種類が豊富というメリットはありますが、日本語でのサポートが不十分というデメリットもあります。
不安な方は、日本語のサポートが充実しているかどうかをVPN選びの基準にするとよいでしょう。
海外でVPNを使うときの注意点
海外でVPNを使うなら。ぜひ知っておきたい注意点についてご紹介します。
旅行先の国でVPNが禁止されていないか確認する
国によっては、VPNの使用を違法としている国もあります。
ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、イラク、オマーンなど。
中国では、政府が承認したVPN以外を使用することは違法です。
また違法ではなくても、利用方法に制限がある国としては、トルコ、イラン、ウガンダ、アラブ首長国連邦、エジプトなどがあげられます。
上記以外でも渡航先がVPNの使用に関して制限していないかどうかには、細心の注意を払う必要があります。
個人情報や重要なファイルはできるだけ扱わない
VPNを使用したとしても、100%リスクがないとは言い切れません。
誤って偽アクセスポイントにアクセスした場合や、フィッシング詐欺サイトにアクセスしてしまった場合、VPNでは情報の流出を防げないからです。
フリーWi-Fi使用時は、なるべく個人情報や社内の機密事項を含むファイルなどを扱わないよう気をつけましょう。
不明なネットワークには接続しない
繰り返しになりますが、アクセスポイントの中には偽物があります。
悪意あるハッカーなどが設定したものに接続すると、データが盗み取られたり、端末がウィルス感染したりします。
接続元が明確なネットワーク以外には、安易に接続しない方が無難です。
フリーWi-Fiへの自動接続設定は切っておく
フリーWi-Fiへの自動接続設定をオンにしたままだと、知らぬ間に不明なフリーWi-Fiに接続してしまいます。
情報漏えいのリスクをなくすためにも、自動接続設定は切っておきましょう。
キルスイッチをONにする
キルスイッチとは、VPN接続が遮断された場合に、インターネット接続も自動で切断する機能のことです。
VPN接続が切れたのに気づかずにフリーWi-Fiを使用していると、情報漏えいのリスクが高まります。
VPNを使用するときは、キルスイッチをONにしておきましょう。
海外旅行でVPNを選ぶ際のポイント
海外旅行のためにVPNを選ぶ際の、ポイントをご紹介します。
アクセスしたい国で使えるものを選ぶ
VPNによって、サーバーが設置されていない国があり、その場合VPN接続ができません。
VPNを選ぶ際は、滞在先にサーバーが設置されているかどうかをまず確認しましょう。
旅行先にサーバー数が多いものを選ぶ
VPNの通信速度は、サーバーの数が多いほど速くなります。
滞在先の国に、サーバーの数が多いVPNを選ぶと通信速度が安定しやすくなりおすすめです。
ノーログポリシーがあるものを選ぶ
ノーログポリシーとは、IPアドレスや閲覧履歴などの記録(ログという)を、VPNの運営元が保存しないと宣言する規約です。
ノーログポリシーがあることで、万が一運営元がハッキングされても個人の情報を盗み取られる心配がありません。
無料のVPNは極力選ばない
VPNには無料と有料のものがあります。
無料のものは、速度が遅い場合や、セキュリティに脆弱性があることもあります。
他にも、広告が表示されたり、ひどい場合には運営元が第三者に個人情報を売買したりというケースもあり、あまりおすすめできません。
海外でVPNを使用したい時のよくある質問
海外で VPNを使用する場合、国内より通信量がかかる?
海外で使う場合も日本で使う場合も、通信量に変わりはありません。
ただ、VPN自体が暗号化などの処理によりパケットが肥大化するので、通常より多くの通信量を消費します。
VPNを複数人で使用できる?
VPNによって、1アカウントで1台のみのサービスから同時に複数台の端末を接続できるものまであります。
複数人で同時に使いたい場合は、何台まで同時接続が可能か事前に確認しておくとよいでしょう。
まとめ
海外旅行でVPNを使うメリットは大きく分けて2つです。
- 情報の漏えいを防ぐ
- 海外から日本のサイトを閲覧する
ただし、国によってはVPNの使用が犯罪になることもあるので、事前に確認しておきましょう。